金にまつわる伝説とファンタジー①「黄金の国ジパング」

金はその美しさによって、古今東西の人々を魅了して来た。また金はその価値から、古代から世界各国の権力を誇示する役割も果たして来た。そして金はまた、様々な文化において伝説やファンタジーを生み出し、人々の心を虜にして来たのである。

マルコ・ポーロによる旅行記とされる「東方見聞録」(1298年)で、日本は「黄金の国ジパング」と呼ばれ、「莫大な金を産出し、宮殿や民家は黄金でできている」とされていることは、日本人であれば誰もがよく知っているであろう。しかし実際にはマルコ・ポーロは旅行中日本には訪れておらず、おそらくは中国で日本の京都・平泉にある「中尊寺金色堂」の話を耳にし、それを拡大して「日本」であるとして「東方見聞録」に挿入したという説がある。しかしこのような金にまつわる架空のファンタジーが、ヨーロッパの人々に東洋への憧憬をつのらせたばかりか、コロンブスを始めとする「コンキスタドール」達の「黄金伝説」への情熱を煽り掻き立て、「大航海時代」を生み出し、大陸発見の大きな動機になったことは有名である。金の持つ魅力のパワーは、それほどまでに大きいのである。

しかし権力者たちが夢見た「伝説の黄金の国」は、東洋に限ったことではなかった。その最たるものは、南米アンデスの奥地に存在すると信じられた黄金郷「エル・ドラード」である。この幻の黄金郷を求めて、16世紀頃スペイン人達は新大陸を探検したが、ついにこれを見つけることはできなかった。