金にまつわる伝説とファンタジー②「エル・ドラード」

「エル・ドラード」はスペイン語で「黄金の人」を意味し、この地方に16世紀頃まで存在したチブチャ文化の儀式に基づいている。現在のコロンビアとペルーにまたがるこの地方では、歴代金の採掘と見事な金製品や装飾技術が発達し、それは今日コロンビアの首都ボゴタにある「黄金博物館」の所蔵品を見ても明らかである。そのボゴタから北に57キロメートルの所に、山に囲まれた美しいグアタビータという湖がある。その土地の酋長が全身に金粉を塗って「黄金の人」となり、この湖に入って祈りを捧げる儀式を行う風習が歴史上実在した。大航海時代にスペインのコンキスタドール達がこの噂を聞き、この話に尾ひれがついて、アマゾンの奥地には黄金郷が存在するという伝説となった。この伝説の噂はスペインだけでなくドイツにも及び、数々の探検隊が黄金を求めて南米大陸へと送り込まれた。

グアタビータ湖の最後の儀式は16世紀初頭に行われたが、この伝説はその後も約300年に渡ってヨーロッパ人の間で語られ続けた。18世紀後半までは実在が信じられ、世界地図にも描かれていたほどである。19世紀初頭、ドイツ人アレクサンダー・フォン・フンボルトによってアンデスやアマゾンが調査され、エル・ドラードは地図上からは消し去られた。しかしこの伝説はフランスのボルテールを始め、多くの文人達の作品に取り上げられ、今日でも音楽、映画等のモチーフやタイトルとして、また商品等の名称としても使われている。

しかし16世紀スペインのコンキスタドール達の金への飽くなき欲望は、「エル・ドラード」にとどまらず、むしろ「エル・ドラード」に煽られるかのように、「黄金の七都市、シボラ」が新大陸に実在するという更なる「黄金都市伝説」を作り出し、現在のアメリカ南西部の探検が数多く行われた。