金にまつわる伝説とファンタジー③「シボラ伝説」

シボラ伝説は、アフリカ北西部のイスラム教徒であるムーア人が、1150年頃スペインのメリダを征服した歴史上の事実に発端を為す。この時7人のキリスト教司祭が、聖遺物を抱えて町から逃れることに成功した。そして彼らがどこか遠い場所で、「シボラ」と「キビラ」という町を建設したという噂が流れた。そしてその町は非常に豊かで、黄金と宝石で建てられているとされた。それが数世紀を経て、伝説だけが独り歩きをする結果となってしまった。それはメリダを脱出した7人の司教達は、それぞれが都市を建設し、それが7つの黄金都市になったというストーリーである。これが「エル・ドラード」伝説とも重なり、アメリカ大陸のどこかに、この黄金の7都市があると信じられることになったのである。

理論的に考えれば、この7人の司教達が元々いたメリダはスペインの内陸にあり、当時の海運事情を鑑みて、そこからアメリカ大陸まで7人が全員移動したとは想像しがたい。しかしスペインのメキシコ副王アントニオ・デ・メンドーサはこの伝説を信じ、大規模な探検隊を作り、メキシコ・シティから黄金都市発見へと送り出した。その結果第一次遠征隊は、現在のアメリカ・ニューメキシコ州周辺で、遠くに黄金都市を見たと報告した。しかし隊は原住民から襲撃を受け、ほとんど壊滅状態となって帰国した。それでも黄金都市の存在を裏付ける報告に喜んだメンドーサは、1540年に更に大きな遠征隊を派遣した。隊は現在のアリゾナ州・ズニにあるプエブロ・インディアンの集落までたどり着いたが、そこには黄金都市などというものは全く見当たらなかった。しかしズニのプエブロ・インディアンの集落は実際に7つあり、彼らの集落の住居は「雲母」がたくさん混じった「アドベ煉瓦」で作られていたため、遠くから見ると太陽光が反射して金色に輝いて見えることから、尾ひれがついて黄金都市にされてしまったと考えられている。

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