金にまつわる伝説とファンタジー④「ナチスの黄金列車伝説」

第2次世界大戦で6年に及ぶ戦闘の末、ドイツは伏して敗戦国となった。しかしナチスの幹部達は将来ナチス・ドイツは必ず復活すると信じ、来るべき時の資金として、保有していた金は溶かしてインゴットに作り、それにナチスのシンボル・マークである「ハーケンクロイツ」の刻印を押して保管した。そしてそれを一か所ではなく、多国に渡って散在する秘密の隠し場所に隠したとされている。

その一例として対戦末期の1945年1月、金塊やその他の財宝を満載した列車をブレスラウ(現在のヴロツワフ)から出発させ、リース(秘密地下トンネル網)計画の一環としてゾウィー山脈の下に建設中だった当時のドイツ領ヴァルデンブルク(現在のポーランドのヴァウブジフ)の近くの未完成のトンネルへと向かわせたという。そしてそれが、列車ごと坑道及びトンネル網のどこかに埋められたというのである。積み荷は黄金、宝石、武器、美術品を含み、総量300トンであると噂されている。

この「ナチスの黄金列車伝説」のための調査は、2015年から2018年の3年間に渡って実施され、ポーランド政府、ポーランド軍を始め地方行政当局及び個人出資者などを含んだ大規模なものであった。また各国のメディアからも大きな注目を集めた。しかし地中探知レーダーやブルドーザー、ドリルを駆使したにもかかわらず、調査団は「黄金列車」やその財宝らしきものは何も見つけることができなかった。歴史的調査では、この列車が実在自体が未だに証明されていないという。このように、単なる「噂話」の域を超えないとも言える一件に対する、プロジェクトの組まれ方のスケールだけを見ても、人々の「黄金埋蔵伝説」についての関心が、どれほど強いものであるかが伺われるのである。

しかしそような失望がある一方、ドイツ国内ではルールーにある廃坑で150トンもの金塊が、またメルカースにある岩塩抗では金塊及び数々の美術品が発見された例がある。国外ではオーストリアのアウスゼーの岩塩抗で、たくさんの金のコインが詰め込まれた箱が見つかっている。このように埋蔵された金が実際に見つかった事実もあるため、人々の間で「黄金伝説」の夢は今も続いているのである。

そしてそれはすなわち「金」が持つ魅力であり、パワーなのである。